型紙を理解してケースを作りましょう
前回までは道具の説明だったり作業の方法だったり部分的な縫い方だったりと、これから革製品を作るための基礎をご説明してきました。今回はいよいよ「物」を作ります。
でも大きな革はまだ買ってないんだ。小さい革でも出来るのかな
B5サイズ(182×257mm)あるといいと思います。でも型紙を理解出来れば好きなサイズ・比率で作れます。
一番簡単な方法なら縫うのは2箇所。(今回は4箇所で説明しますが)とても簡単です。それでは進めます。
型紙を理解して好きな大きさ・比率のケースを作る方法
目次
今回作るカードケースです。
B5サイズの牛革から切り出して作りました。お店などで使うカードを入れる事を想定しています。
白い革で留めるようにしているので4箇所縫う事になりましたが、ここをボタンで留めるのもいいと思いますし何もしないのもありです。(その場合は縫うのは2箇所とより簡単になります)
カードケース(右上『B5・縦』)の他にA4サイズの革を縦に使うと左上のようなケースが(銀行の通帳が入ります)、A4サイズの革を横に使うと下のようなケースが作れます(ボールペンが入ります)
1 型を理解すると後が楽です
「型」アレルギーという方、いないでしょうか。私は少しその傾向があります。
本の裏に型が付いていたりすると、それをそのまま写せばいいので楽なのですが同時にここは何になるんだろう?どこが重要で絶対に変更出来ない場所、できる場所はどこなんだろう???と思ってしまうのです。
要は”理解しないまま作業している”ので気持ち悪いのです。
確かに。完成してから「ああ、あそこがこうなったんだ」って分かる事があるよ。
今回は非常に簡単な「型」を理解する事でアレルギーが少しでも治ればと思います。
2 型を作ります
型の完成品です。普通の画用紙を使いました。
赤ちゃんの肌着みたいだね
ですね。袖の部分が”マチ”に、お尻の部分が”かぶせ(フタ)”にエリのデザインはお好みでと覚えるといいですよ。
B5の画用紙を縦に均等に3つに折ります。
1mmくらいは無視します。
”袖”、つまりマチの大きさをここでは36mmにします。折りたたんだ時に18 / 18になるように上18と下6mmを結んだ線で谷折りします。
谷折りしたら画像左のように印を付け、はみ出した所をカットします。
これで折り畳んだ時にぴったりに。
ここで上を18、下を6mmにした説明です。袖(マチ)の下を6 / 6mmにしているのはこれ以上大きくしても折り畳んだ時にこの大きさのケースでは意味が無いからです。
なので目安として下は上の幅の3分の1としました。まずはここから始めて慣れたらお好みでサイズ変更してみてください。
DVD、CDなど使える物は使います。
実はフタのカーブはうちわを使っています。ゆるくていい感じです。
更に、角がとんがっているのもいいですが、今回は彫刻刀で丸くしました。個人的に彫刻刀は使えると思っています。
3 型を革に写します
今回使ったのは柔らかめの牛革で、厚みは1.2mmです。革はお好みで。
アドバイスとしては硬い革、張りが強い革を使う場合は折れ癖をしっかり(ローラー、瓶の底などで)付けるのと、フタがピーンと立ってしまうようならボタン、ホックなどで留める必要が出てくるかもしれません。今回のように帯状の別パーツを作ってそこに差し込むのも1つです。
。。。ワイルドに輪ゴムで留めるとか
柔らかければ厚みが1.2mmよりあっても出来る場合もあるので、まずはお手持ちの革でやってみてください。結果張りがあり過ぎたとか、もう少し厚い方がしっかりして良かったななど分かって来ると思います。
それから革には曲がりやすい方向があります。この方向を間違えると、同じ革でも抵抗感があって非常に作りにくいと感じる(革もある)と思います。→名刺入れでそれを少し説明しています。
今回のB5サイズの革は縦(長い方)に曲がり易い(丸め易いとも)方向で切り出してください。
型を写すには銀ペン(普通の銀色ボールペンでOK)目打ちなどがあります。
そして今回はカブセを抑える(差し込む)白い革のパーツも作りました。
革の伸びる方向と伸びない方向を意識する
別の革で説明(下の画像)しますが、伸びる方向、伸びない方向がありますのでここは勿論伸びない方向が横になるように革を置いてパーツを切り出してください。
青い方向が伸びません。
僕でも見分けがつくかな
今回位の薄い革、小さいパーツならグッと引っ張れば分かります。
伸びない方向で使うとしても、伸びる方向がすごく伸びるようならあまりいい部分では無いので別のところから切り出した方がいいです。
4 革に折り癖をつけます
5 帯を先に縫います
接着剤(エルスーパーボンド)、スティックのり(あくまでレッツDIYの中だけの間に合わせの話)を接着する両側に薄く塗ります。菱目打ち、フォーク目打ち(あくまでレッツDIYだけの話)で穴を開け、麻糸で縫います。
最初と最後は力のかかる部分なので二重にすると安心です◎
オススメの道具
一度だけ別の(エバーグリップ)に浮気しましたがやっぱり戻って来た接着剤、エルスーパーボンド。
6 本体を縫います
帯の時同様、両側にノリをつけ、圧着し、穴を開け縫ったら完成です。
あれ?フタが短いみたいだけど
実際に革で作ると上の厚み分取られて随分短くなりました。そうゆう事も考えて(上の方で説明した)型を作る時に三等分にして短めのフタにするも良し、大きめにとっておいて長いフタにするも良しです。
7 A4の革で作った場合のサイズ感
A4の革で作った場合はこんな感じです(B5は今回作ったものです)
いきなり革でなくコピー用紙などでいろいろ作って必要なサイズを決めると良いです。
8 A4横バージョンをざっくりと解説
重要なのはフタ以外の2つの高さを同じにするという事です。(つまり上から70,70,70 でなく、80,80,50でも85,85,40でもいいという事です)
マチ下は上の1/3(目安)でした。
”えり”のデザイン例です。丸く抜く道具、ハトメ抜きや彫刻刀で角を丸くしました。
9 A4縦バージョンもざっくりと解説
今回はフタを短めにとりました。
”えり”をV時に切り取るのもいいですが、薄い革だったら折り曲げて二重にすると強度が出る上に見た目も綺麗です。
この型で通帳が入るケースが出来ます。
以上です。次回もお付き合いください。
お疲れ様でした◎
ここで使っている道具のほとんどは「お勧め道具」のページで詳しくご紹介しています◎