コントラバス用の弓ホルスター:H様
コントラバスを演奏なさるH様のオーダー品、弓ホルスターの納品が完了しました。
今回の形状はブッテーロという革の魅力が充分に出せたと思います。
タンニン鞣しなのに大変鮮やかな色で、さすがイタリアの会社が作った革という感じがします。
ブッテーロ:
タンニン鞣し(なめし)で植物性オイルを含ませた牛革です。
リボンが汚れたり気分を変えたいなと思われたら、別の色で巻き直す事も出来ます。
実際に楽器に着けた時の写真を送って頂きました。
見るのは初めてです。
音楽を聴きに行く機会なんて滅多に無いですし、こうゆう物が取り付けられているとは知りませんでした。これからは注意して見ようと思います。
【以下はこの弓ホルスターの制作過程です】
大きい弦楽器(でいいのでしょうかH様)の弓を演奏中に出し入れするために楽器に付ける弓ホルスターのデザイン提案中です。実際の革を使って小さいサンプルで、革の厚みや制作手順を考えます。
フルオーダーの場合、「こうゆうのを作って欲しい」と言われて作る時は完全コピーでは無くアンバルクマンらしさが出せて、他で買った方がお客様のためにもいいと思いますよという以外はやらせて頂いています。
それにしても弦楽器が美しいのでそれを邪魔せず、と言いつつ演奏中にお客様から「おっ?」と見てもらえる物を作りたいと思っています。そしてH様の演奏も聴きに行きたいと思います。(後日行きました)
最初はこんな色でも提案。紫は本番と同じブッテーロですが、焦茶の革も油分を多く含んだしっとり張りのある革でした。
パソコンでなら色やデザインのパターンを簡単に変えて、お客様にも完成イメージを共有していただけます。
革は紫に統一して、細かい部分の打ち合わせです。
マジックテープを使う時にいつも思うのですが、好みがはっきり分かれ嫌いな人は嫌いですね。(ですのでこれを使っていいかは特に注意して聞くようにしています)片面の固い方が痛くて嫌だと仰る方がいますが、ソフトな物も出ています。音?音ですか。。。
厚みは3mmほどあります。今回はそのまま使います。
切り口の角を落として丸みをつけます。この作業をするかしないかで触った時の気持ち良さが随分違ってきます。
縫い終わってからでは磨けない所をこの段階で磨いておきます。
両面サテンリボンでかがります。H様と相談し迷いに迷ってシュイロ に決定。リボンは15色前後の中からお選びいただけます。
可愛らしい製品をご希望の客様でしたらシュイロよりもアカをお勧めするのですが(アカは微妙にピンクがかっています)H様にはシュイロの方がいい気がしました。
リボンかがりをもっと長くするという案もありましたが、この革は切り口(コバ)を磨くととても綺麗に決まる革なので今回はリボン少なめにしました。
マジックテープのための穴を開けます。
柔らかい方はループで、
硬い方はフックです。
開いていた全体を閉じて完成です。
ありがとうございました。
2019年9月追記
2018年12月制作、S様オーダーの弓ホルスター
演奏を聴きに行って、大きな楽器を見る度に「これを毎回持ち歩くんだ、、」と素人っぽい感想を持ってしまいます。と同時に、自分だったらどの楽器がいいかなぁという事も(楽に運べてカッコよくて、、、)すみません。
底にマチがあって弓が出し入れし易いのがポイント。