糸の”より”
手縫い用の糸とミシン用の糸の違いは(一般的に)撚(よ)りの方向の違いのようです。
手縫い糸とミシン糸の違い
手縫い糸はS撚りとも言われゆるいS字に見えます。ミシン糸はZ撚りです。
専用の糸を使わないとどうなるのか
手縫いでもミシンでも縫っているうちに糸には自然に撚りがかかります。糸の撚りと逆方向に撚りがかかると糸の撚りが戻ってしまい手縫いではちりつきやもつれ、ミシンでは糸が切れたり目が飛んだりしてしまうため基本は専用の糸を使った方がいいようです。
縫い目が手縫いは右下がり、ミシンは右上がりと言われています。(しかし手縫いで右上がりにする事も出来ます)
糸の表示番号の見方
左:エスコード「細」の30/3とは30番の太さの糸を3本撚り合わせている意味で数字が大きくなるほど細くなります。
左:「elephantという太い糸 16/4」は4本撚り、右:「エスコード中細 20/3」は3本撚りである事が分かります。
矢澤十四一さんが書いた「手縫い革鞄の真髄」という昭和61年に発行された革工芸の本があるのですがこの本は読み返すと度々発見がありまして、数年前読み返したら糸の所に
20/3番手と30/3番手の糸は現在、左撚りしか市販されていませんので、ときどき撚りをかけながら縫うとよいでしょう
とありびっくりして在庫の糸を確認した所
確かに「手縫い=右撚り」と疑わなかったエスコードの「中細(20/3番手)」が平成になっても左撚りのままでした。「細(30/3番手)」は右寄りになっていました。
手縫い糸、ミシン糸、簡単な見分け方
手縫い用の糸は指をパチっと鳴らすようにひねった時に糸の撚りが締まります。(ミシン用は逆に緩んで写真のようになってしまいます)
お勧め ツレデ糸とは?
それから矢澤十四一さんはツレデ糸が使いやすくてお勧めできますとも書いていました。私も数年前からOrizuruのツレデ糸を使っています。ギュッと締まっていて見た目もシャープで何だか感じがいいのです。30mで190円ほどです。
余談ですが「ツレデ糸」はフルオーダーのスーツのボタン糸としては定番のようで(これも随分後になって知りました)。英語の糸:Thread(スレッド)が訛って「ツレデ」になったと言われているそうです。
スレッドスレッドスレッド、、ツレデ?