サクソフォン奏者、大石氏のコメント
【共同開発、サクソフォン奏者・大石俊太郎氏のコメント】
〜 の前に開発ストーリー 。どうしていきなりリガチャー〜
始まりは鞄の展示でお世話になった東京・江古田のパン屋さん
Bakerycafe&Gallery Vieill(ヴィエイユ)さんの声掛けからでした。
。。。プロのサクソフォン奏者の大石さんモデルのネックストラップを
開発しませんか、と言うのです。
*
ネックストラップねぇ。少し前から知り合いになっていたお二人との
仕事ならと1回目のミーティングをした所で大石さんのサックスの口元
付近に着いていた”革で出来た物”に目が行きました。
革と金属で出来た小さくてなんだかカッコいい物。
それを見た途端にネックストラップよりも俄然作りたくなったのです。
しかもそれはサックスの音に関する重要な役割を果たすと言う。
「こっちの方がいいなぁー、こっちやりたいですねぇー」
ワーワー騒いでいるのを、その道のプロ故に「そんな簡単な物では
ないですよ」と冷めた(いえ、冷静な・笑)目で見ていた大石氏を
覚えています。
*
その通り、大石さんも後日 ”正直、楽器の専門知識のない彼女に、
プロの演奏家が要求する楽器のパーツが作れるのかと疑心暗鬼でした”
と語っています。
*
製品としての見た目だけで考えたら正直、目の前の物よりも完成度の高い
物を作る自信はありました。
ただ、見た目はいいけれど肝心の音はどうなるのかは少し不安はありまし
たが、無理ならやらなければいいですし、そこで初めて見たリガチャーの
革の感じから出来そうな気はしました。
*
そして時に割とすんなり、時に何度も試作を繰り返して
”今までのどのモノよりも出したい音が出せて、かつ世界のどの
メーカーのリガチャーよりも美しい”
リガチャーが完成しました。
【サクソフォン奏者、大石俊太郎氏のコメント】
『ENBARQMENTリガチャー』
僕はかねてからクラシカルな革製リガチャー(金属板など入っていない
シンプルなもの)をいくつか愛用していました。
偶然、革作家の深澤さんとの出会いから始まったリガチャーの開発
…正直、楽器の専門知識のない彼女に、プロの演奏家が要求する楽器
のパーツが作れるのかと疑心暗鬼でした。
見た目だけ美しいリガチャー「らしき物体」
になるのではと思ったからです。
しかしその疑念は試作品1個目であっけなく払拭されました。
既製品にはできない革の専門家だからできる素材の吟味、手の込んだ
工程によって、見た目の美しさはもちろん、シンプルな作りに関わらず
今まで出会ったどのリガチャーよりも豊かに、そして反応よく楽器が
鳴ったのです。
エピソードを1つ・・・
革を漉(す)く作業。革を機械で効率よく均一に薄くするよりも、刃物で
細かく丁寧に漉いていく方が音色が豊かになることがわかりました。
想像ですが、手作業でできた目に見えない細かい凹凸が音響的にうまく
作用した事、刻一刻と変わるリードのコンディションにフィットして
くれたのでしょう。
これこそ革職人だからできる技、
このリガチャーに大事な付加価値をつけてくれました。
_サクソフォン奏者・大石俊太郎